2017年6月30日金曜日

セロニアス・モンク未発表音源『Thelonious Monk – Les Liaisons Dangereuses 1960』

セロニアス・モンクの未発表録音がフランスのSam Recordsで発売された。内容は、映画「Les Liaisons Dansereuses(危険な一致)」のために録音された1959年の演奏。CDLPでの発売となる。内容は同等。録音はニューヨークにて。フランス映画だからか、ゲストとしてバルネ・ウィランが参加している。

  • Charlie Rouse (Tenor Saxophone)
  • Barney Wilen (Tenor Saxophone) Tracks A1, A2, B4 & C1
  • Thelonious Monk (Piano)
  • Sam Jones (Bass)
  • Art Taylor (Drums)
    Recorded at Nola Penthouse Sound Studio, 111 W. 57th., New York, N.Y., July 27, 1959.
CD #1
  1. Rhythm-a-Ning  5’47
  2. Crepuscule with Nellie  5’16
  3. Six in One  4’28
  4. Well, You Needn’t  4’57
  5. Pannonica (solo)  2’27
  6. Pannonica (solo)  2’55
  7. Pannonica (quartet)  6’20
  8. Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are  6’57
  9. Light Blue  2’47
  10. By and By  1’47 (We’ll Understand It Better By and By)
CD #2
  1. Rhythm-a-Ning (alternate)  5’36
  2. Crepuscule with Nellie (take 1)  2’29
  3. Pannonica (45 master)  6’53
  4. Light Blue (45 master)  4’09
  5. Well, You Needn’t (unedited)  6’47
  6. Light Blue (making of)  14’13

2017年6月20日火曜日

ヴォイニッチ手稿がついに解読か?謎の言語は古チェコ語が元



https://www.novinky.cz/kultura/440892-autorem-voynichova-rukopisu-psaneho-neznamym-jazykem-je-jiri-iii-z-lichtenstejna.html

チェコ語のニュースだが、宇宙人が書いたのでは?とまで言われた奇書・ヴォイニッチ手稿がとうとう解読された、らしいというニュース。

ヴォイニッチ手稿とは1912年にイタリアで発見された手書きの書物で、未知の言語で書かれており、現実には存在しない植物が描かれていることから、多くの人々の興味を惹きつけた。これまでに暗号の専門家が何人も解読しようと試みたが、有効な解釈はできなかった。ヴォイニッチとは発見者の姓に由来する。

解読に成功したとされるのは、チェコのIrena Hanzíkováさん。解読を始めたのは2016年8月からとのこと。彼女によれば、言語は古チェコ語をある法則で暗号化したもので、セクションごとに暗号化の方法が変わっているのだという。これまでいくら試みても解読できなかったのは、このようなマイナー言語が元になっていることが原因なのではないか、とのこと。おそらくは暗号解読表も存在していたのではないかという。

気になる内容だが、期待外れなようだが、著者の人生観や信仰の告白などを綴った極めて個人的な心情吐露だという。植物図鑑のように見えたイラストは、それらの心情を絵で表したもので、内容と合わせて読むと見事に合致するのだという。

著者は、モラヴィアの貴族ゲオルグ・フォン・リヒテンシュタイン3世。1360年にミクロフにて生まれ、修道士となりイタリアのトレントに住んだ。枢機卿に推薦されたものの、これを断ったと伝えられている。1419年8月25日に死去、毒殺ではないかと言われている。文書を暗号化したのは、そこに来世への生まれ変わりへの願望が書かれており、転生を否定するキリスト教と相いれないからだったからではないかという。

ただし、このニュースにはいささか疑問がつきまとう。このIrena Hanzíkováさんが一体何者なのか、研究者なのかどうか、ネットで調べてみても出てこない。また、彼女はこの内容が非常に個人的なものであるために、内容の公開にためらいを感じていると述べていること(14世紀の人の個人情報を気にする意味は?)、具体的な暗号化の方法について何も述べていないこと、ゲオルグ3世と特定できた理由が述べられていない、など。ただ、チェコでは結構なニュースになっているらしい。

ともあれ、続報が出るなら期待したいところである。

2017年6月5日月曜日

新事実!エイドリアン・ブリューはクリムゾンを辞めさせられたのではなかった

キング・クリムゾンが数年前に復活し、年に半年ほどツアーをしていることは既にご存知だと思う。今年は1年のサバティカル(研究期間)を経てビル・リーフリンが復帰、歴代最多の8人編成となったが、そこにはエイドリアン・ブリューはいない。現編成での復活が決まった時、フリップから「新しいクリムゾンに君の居場所はない」と言った素っ気無いメールが送られてきて、ブリューは解雇になったとこれまで思われていた。何しろブリュー本人がそう言っていたのだから。

だが、本日公開されたフリップの日記によれば、事実は違うようである。
https://www.dgmlive.com/diaries/Robert%20Fripp/RF_diary_2017_June_2

この日記にはフリップがブリューに送ったメール内容が引用されている。要約すると以下の通りになる。

何年か前に君がナイン・インチ・ネイルズと仕事をしている時、「今なら僕抜きのクリムゾンがやれるよ」と言ってたけど、そんなことは考えなかった。でもあるとき、新しい編成での復活を思いついてしまった。7人のメンバーで3人がドラマーなんだ。昨日、最後のメンバーが加入に同意した。君のためのクリムゾンでは無いが、君はメンバーじゃなくなったということではなく、8番目のメンバーなんだ。トニーが10年間そうだったように。活動を始める前に君にこの事を伝えたかった。君は凶悪な野獣から逃れられたんだよ。

ところどころおどけた表現が見られる。そして何回かのメールのやり取りの後、ブリューが電話で話したいというので会話したところ、8番目のメンバーになる準備はないこととバンドを脱退する事を告げられたという。

ディシプリン期のメンバーでの復活についても、フリップは断ったのではなく、ブルーフォードがイエスと言わないだろうから、同意しなかっただけだったと弁明している。当該の日記では、ブリューの最近の活動について肯定的に紹介しており、これまで考えられていたような敵意は感じられない。

ブリューはfacebookで、今のクリムゾンの活動について興味はないし音も聞いていない、クリムゾンについてもう聞かないでほしい、と書いている。長らくファンから否定的に言われることに疲れたのかもしれない。

ブリューは現在、エイドリアン・ブリュー・パワートリオでの活動を主軸としている。iOS向けアプリのfluxも高い評価を得ており、2016年にはピクサーのアニメーション『ひな鳥の冒険(原題:piper)の音楽を担当、映画はオスカー賞やアカデミー賞を受賞している。

そして余計なお世話だが、本人の発音では、ブリューではなく、ブルーが正しい発音のようだ。

2017年6月1日木曜日

アドルフ・ヴェルフリ展@東京ステーションギャラリーを見てきた



アール・ブリュット、日本ではアウトサイダーアートなんて呼ばれている、精神障害のある人の芸術作品。日本ではヘンリー・ダーガーが先行して有名になったが、本命と思っていたアドルフ・ヴェルフリの展覧会が東京にもやってきたので、ようやく行ってきた。その作品を一言で言い表すなら、ディテールと量の過剰である。

http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201704_adolfwolfli.html

アドルフ・ヴェルフリ(1864-1930)はスイス生まれの、アーティスト。画家、と言うか詩人というか。貧しい両親に虐待されて育ったそうで、ゴッホのように女に振られて貧困に喘いで、未成年相手の強姦事件(未遂かどうかは不明)も起こしてた様子で、31歳で統合失調症と診断され、精神病院に入所。当時、狂人というものの扱いは今とは大きく違っており、治療すべき対象ではなく、犯罪者と同じで隔離するのが当然、という扱いだった。このあたり興味ある人は、フーコーの『狂気の歴史』などを読むと良いだろう。

ヴェルフリはこの精神病院で「才能」を開花させた。

新聞用紙に手書きで様々な「絵」を描き出した。その絵は、西洋的な具象画というよりも、まるで平安時代の絵を見ているかのような俯瞰的な構図が多く、それらは彼によれば物語があるのだ。病院のスタッフに色鉛筆を与えられたことで、彼の絵に色が加えられるようになった。彼はその絵で、自らの王国を夢想した。

精神病院の看護師は、彼のその妄執的な絵を「混沌」と評している。独特なステッチの紋様、正体不明の動物、ドイツ語で書かれた文章(筆跡は汚くない)、丸い顔をして目の周りが落ち窪んだ謎の人物(ヴェルフリも目が落ち窪んでいる)、十字架、楽譜のようなもの……

妄想の限りを尽くして書き込まれた偏執的なディテールは精神の混沌を反映しているのかもしれないが、実際には画面は左右もしくは上下対称の配置が多く、確実に秩序を与えようとした意図が伺える。ものによっては、まるで曼荼羅を想起させるものもあった。しかし、おそらくだが、草間彌生のように、全体の構図を考えて書かれたものではなく、端からディテールを書き連ねて、最終的に対称形の図となったのでは無いだろうか。それほど彼の衝動の強さが絵に現れている。

楽譜は五線ならぬ六線譜で書かれており、8分音符あるいは16分音符のみが用いられ(連桁は無い)、たまに矢印の先のような旗もある。シャープ(フラットはない)や付点が現れることもあるが、全く音符に対応していない。唐突に挟まれる太い終止線、調号のつもりらしいヘ音記号を書き損じたような6や9(拍子かもしれない)。彼はうろ覚えの楽譜を絵で再現したのだろうか……病院内でトランペットを吹いていたというのだが。

楽譜の横に文字が添えられているものもあり、ひょっとしたらそれは歌詞なのかもしれない。人物の脇に十字架らしいモチーフが添えられていることもあり、賛美歌とも考えられる。人物がヴェルフリ自身だとするなら、それは自分への賛美かもしれない。アマゾン、メキシコ、中国などの異国をテーマにしたものもある。空想の旅行であろうか。

会場に置かれたビデオ展示では、ヴェルフリが作成した“冊子”が紹介されていた。ページごとに紙の大きさがバラバラなので、自分で綴じこんだのだろう。文字が多くを占めていたが、意味のある文だったのだろうか。写真や広告などを綴じ混んだり、貼り付けていることもあった。このことから、彼の作品は書き捨てではなく、彼にとっての叙事詩のようなものだったのでは無いだろうか。

彼がアーティストとしてある程度話題になり始めた頃に書き始められた「地理と代数の書」というシリーズは、彼の妄想王国建国のための資金について綴られている。独特の利子計算図があり、その数は次々とインフレを起こし、ついには自身が発明した数の単位が登場し始める(日本語で言うなら億や京などの単位を新しく作ってしまったと言うことだ)。その最上はzorn(ツォルン、怒りの意味)である。数と利子への異様な執着は自尊心を満たすためのものだろうか。

晩年に書き始め、未完に終わった「葬送行進曲」に至っては、もはや文字がほとんどを占めるようになり、時折、新聞や広告のコラージュが貼られているのみであった。この文字を読み上げたビデオが展示されていたが、まるでそれはクルト・シュヴィッターズのUrsonateのようにも響く。意味よりも、音の語感が重視されているのだろう。果たして彼はそこにどのような意味をもたせたかったのだろうか?

彼はその生涯に渡り2万5000ページに渡る「作品」を生み出した。精神病院の他の入居者に作品を売りつけたこともあり、買わない人間には芸術家の苦労を愚痴るなど、作品製作は彼にとって自意識の誇示だったのかもしれない。だがしかし、この途方も無い量とディテールへの偏執は何だろうか。芸術家にとって最も大事なものは作品製作への衝動だとするなら、彼のその固執は一級の芸術家のそれかもしれない。

展示は6月18日まで(月曜休館)。図録はアマゾンでも買えるが、実物を見ることを強くお勧めする。アロイーズ・コルバスなどの作品も日本に来てくれることを願いつつ。


ダブルトリオ期キング・クリムゾンのThrak、バンドスコア発売

最近、Island期(Poseidon〜Islandまでのアルバムとライブ)ボックス「Sailor's tail」や2016年と2017年のライブ版、さらにBrufordのボックスまで出ていてリリースが相次ぐクリムゾンですが、なんとThrakのバンドスコアが発売されていま...