たとえば1曲目。"On Green Dolphine Street"はジャズ好きなら誰でも知っているスタンダード。これを5拍子でやっている。といっても、いわゆるプログレ的な(=クラシック的な)3/4+2/4*1を余り感じさせないように、ピアノのメロディーがルバートっぽくフレーズを奏で、ドラムはビートをかっちり刻むのでなく、優しく寄り添うようにアクセントを付けている。一聴してこれを5/4と分かる人はなかなかいないんじゃないかな。
同じ事は8曲目の"Come Rain Or Come Shine"にも言えて、こちらは3拍子。サスティンペダルを多用して、流れるようなサウンドを実現させている。ECM的にエコーを深くかけたものはあっても、こういうサスティンペダルを多用した演奏って、有りそうでなかなか無い。
このインタビューはGeek of DoomのObi-Danによって行われ、2011年6月29日に公開されたものである。クリエイティブ・コモンズライセンスによって公開されているので、ライセンスを継承しつつ、翻訳をここに掲載する。インタビュー内容は、イエス脱退の話よりも最新ソロアルバムの話が中心となっている。
JA:もちろん、驚いたよ。みんなが誰だか知っている人に連絡できるようなものがウェブサイトに上がっていたから、あんなに反響があったんだろうと思うよ。彼らは僕と仕事をすることに興味があって、送られてきたものは僕が本当に欲しいものだった(笑)。1曲目の"New New World"はサウスパークの音楽をいくつかやったことがある人から送られてきたんだよ。
僕は20歳までギターを弾けなかったんだ。僕は弾けるようになるまでやらなきゃと思っていたんだ。弾いても血だらけになるから、24歳か25歳になるまで再びギターを手にしようとは思わなかった。そして、ロンドンに行って、ギターを手にいれて、また練習を始めたんだ。曲も書き始めたんだけれど、どれもひどいものだった。でも、突然、僕は"Time And A Word"や"Starship Trooper"や"Long Distance Run Around"を書いた。僕はうまくスタートできたよ。
シェリッペンバッハは70年代ヨーロッパフリーの騎手で、現代音楽を出自に持つピアニストである。その彼が、アクセル・ドゥナー(奇しくも大友のOut To Lunchにも参加)などのメンバーを集めて、コンボ形式でモンクの全オリジナル曲を演奏したのが「Monks Casino」だ。これを以前購入して聴いていたのだが、シェリッペンバッハの個性である、アメリカのフリーのような過激さとは少し違う、ヨーロッパならではの知的でクールなフリーさが余り感じられず、サウンドは普通のバップに近かった。コンセプトはあったのかもしれないが、モンクの作品が持つ個性をどう扱うか、手に余っているという印象を受けた。
大友の「Out To Lunch」にもそれは当てはまる。
ドルフィーの「Out To Lunch」は、いわばフリーとフリーに興味がありつつもまだ調性の中にとどまっている新主流派の会合であり、両者の拮抗が面白い作品だった。大友のバージョンでは、中村としまるや宇波拓といったジャズとは距離のあるいわゆる「音響派」ミュージシャンと、津上健太や水谷浩章や芳垣安洋といったオーソドックスなジャズのフィールドで活躍するミュージシャンとの共演が、当初のコンセプトであったのだろう。ところが実際には、中村達の存在はほぼ効果音的な程度にしか認められず、全体として聴くと単なるフリージャズにしか聞こえないのである。つまり、オリジナルの面白いところを換骨奪胎するわけでも、新しい解釈を提示してみせるわけでもないのだ。フリージャズが好きな人たちにとっては中村達の存在は邪魔で、音響派に興味がある人たちにとっては津上たちの存在は凡庸になってしまっているのである。つまりこちらもドルフィーの個性をどう扱うか、手に余っている感じがするのだ。
ジミー・ホーン(以下、JH):僕の父はとっても有名なオペラ歌手だったんだ(ジミーの父、Roucaunは、エド・サリバンショーにも出たことがある)。4歳の時、夜遅くまで起きて、父がいろんなジャズやクラシックや映画のテーマをかけてくれたことを覚えてる……彼はヘンリー・マンシーニが好きだったんだ。それらの音楽は常に僕の原点にあるね。最初に聴いたロック・アルバムは「Meet The Beatles」だった。そのとき、僕らはネヴァダ州にある、ラス・ヴェガスに引っ越したんだ。父がDunesで大きな仕事を得たからね。そこで、僕は3年生の時、マイケル・シャーウッドと知り合った。彼の父もショービズの世界の人で、僕らは大の親友になった。マイケルはドラムセットのあるでっかい部屋を持っていて、エレクトリック・ギターも持っていた(ギブソンの175だったんだよ!)。僕らはいろんなグループのまねをしたもんさ。モンキーズやビートルズ……。ビリー・シャーウッドはまだほんの子供だった。
最初にギターを手にしたのは11歳の時で、グランド・ファンクの曲を練習した(なぜなら彼らの曲は簡単だったからね!)。そして、トムとマーク・フラッチャーと共に、バンドを始めた。"Roundabout"をラジオで聴いて、音楽の見方がまるで変わってしまったことを今でも覚えてる。僕はレコードを買って、何回も何回も聴いたもんさ。次に「危機」を買って、もちろん"And You And I"を練習した。でも、僕がギタリストとして本当にスタートしたのは、部屋にこもってイエスのバージョンの"America"を1音1音練習したことだった。友人は僕の演奏が変わったと言ってたよ。そして、更にいろいろチャレンジしてみたんだ。ジョン・マクラフリン、ジェフ・ベックとかね。リハーサルルームを借りて、"Close To The Edge"を僕のボーカルで録音してみたこともあったんだよ。うまくいって、ヴェガスのパーティーで演奏し始めたんだ。発電機を持ってきて、砂漠の真ん中で無数のバンドを呼んだパーティをやってたね。そうしたことが終わったら、Lodgicが結成され、そのときにしては実にプログレッシヴな音楽をやっていたよ。そして、LAのマネージャー(バリー・モーガン)が僕らの地元のクラブでの演奏を聴いて、LAに移るお金を出してくれたんだ。ビリー・シャーウッドはそのときドラマーに戻ってて、近所の苦情に悩まされてた。そこで、僕は彼にベースを弾いてみないかって言ったんだ。ヘッドフォンをいつでも使えるからね。そしたら、彼は美しいミッドナイトブルーのTAMAのセットとそれよりもずっと安いKramerベースを交換してきたんだ。でも、2年の内に彼はバンドに十分やっていけるまでになった! ある時、ギグの後にTOTOのメンバー(デヴィッド・ペイチ、スティーヴ・ポーカロ)がやってきて、A&Mにサインさせてくれたんだ。さらに、彼らはアルバム「Nomadic Sands」もプロデュースしてくれた。
トラック 1:I Would Have Waited Forever
オープニングのリフは僕だよ。アリスタは"Starship Trooper"みたいなのを欲しがってたんだ。そして、スティーヴは0'24''~0'49''の間にある、繰り返しのシングルトーンフレーズと、ソロの終わりを弾いている。それ以外は全部僕だ。エレクトリックもアコースティックも、いくつかの効果音を重ねたのもね。
トラック 2:Shock to the System
これはスティーヴのシステムへのショックだったろうね。スティーヴは全く弾いてないんだから! もちろんオープニングのリフはスティーヴが書いたけれど、音質の問題で差し替えられたんだ。これは僕のお気に入りで、なぜかというとほとんどのリフを書いたのと、僕らが考え出した新しいセクションがあること、そして4'10''からのリフが"The Gates of Delirium"にそっくりだからね。さらに、僕はいくつかベースも差し替えたんだ! トニー・レヴィンが彼のベースをスタジオに置いていったから、全く同じ音でセクションを加えることができた。僕の予想だけど、スティーヴはこのセクションをライブで弾くことを拒否したと思う。ユニオンツアーの途中、飛行機でラビンがスティーヴに弾いて見せたら、開いた口がふさがらなかったそうだよ。
トラック 5:Without Hope You Cannot Start the Day
これもまた、スティーヴが全く演奏してない。たぶんスティーヴはこの曲を聴いてないんじゃないかな。ジョンとジョナサンが書いた曲だよ。
トラック12:Holding On
スティーヴが最初のメインリフを0'31''~0'47''まで弾いている。沢山リフが、特に終わりに向かってあるけれど、全部僕が弾いてる。実にスティーヴらしく聞こえるんじゃないかな。
トラック14:Take the Water to the Mountain
スティーヴは全く弾いてない。でも、実にスティーヴらしく聞こえる。
トラック15:Give and Take
スティーヴのメインメロディから始まってて、僕はハーモニーを加えてる。コーラスと同じように、ヴァースも全部僕が弾いた。スティーヴのサウンドは歪んだ細い音で通していた。彼のトラックは全部そうだったんだけれど、僕はここではもっと多彩なカラーが必要だと思ったので、発展させてみたんだ。
JH:"Roundabout"を聴いたのが、1971年のパーティの時だったんだ。天国のように響いたよ。だって、ラジオで流れてくるような曲と全く違ったんだからね。そして、僕は"Long Distance Runaround"がカップリングされたシングルを買った。イエスのアルバムは全部買ったよ。そして、次のアルバムをワクワクしながら待っていたもんさ。好きなアルバムを挙げるとしたら、「危機」とそして「リレイヤー」だね。"To be over"のスティーヴのソロは傑作だよ。その次は「海洋地形学の物語」だね。僕にとって、90125以降のイエスは別物になってしまった。楽しめなかった訳じゃないよ。ラビンの作品は素晴らしかったけれど、ポップマシーンになったように見えたから、新しいスタートに興味があった。僕は「海洋地形学」や「危機」に戻ろうとしたんだ。ビリー・シャーウッドがイエスに係わるようになったのは、とても重要なことだった。彼はバンドのために沢山のことをしたかったし、やったけれど、ラビンが言うようにそれはとても大変な立場だったんだ。
そして、The Keyをビリー・シャーウッドとマーク・T・ウィリアムスとでスタートさせました。あなたたちは、Delta Sierra Julietというアルバムをレコーディングしましたが、リリースはされませんでした。背景にはどういういきさつがあったんでしょうか。また、私たちはそれを聴けないんでしょうか?
The Keyはクリス・スクワイア・エクスペリメントとツアーして回っていて、あなたは両方のバンドで演奏していますね。一方ではイエスの「結晶」で演奏していて、他方ではクリス・スクワイア・エクスペリメントで演奏するというのは、どういうものでしょうか?
JH:うん、とっても素晴らしい経験だったね。ライブで演奏した音楽は大好きだったよ。"I've Seen All Good People"や"Long Distance Runaround"という曲を演奏できて、そのときはなんだか現実じゃない気持ちだった。それにスティーヴ・ポーカロと演奏できたのは素晴らしかった。ビリーやマークといった僕の相棒と演奏できたのも良かったしね。アランも素晴らしかったし、クリスはすごい奴さ。有る夜、彼は夜遅くまで僕に、初期のイエスがそのときはまだ無名だったジミ・ヘンドリクスと共演したときの話をしてくれたんだ。イエスの番が来ると、クラプトンやタウンゼント、エントウィッスルといったビッグネームが聴きに来ていて、クリスは自分に「よし、俺たちは奴らを魅了する素晴らしい演奏をやってみせるぞ」と言い聞かせた。最後の曲が終わった時、オーディエンスが熱狂していて、イエスはすごく興奮していたけれど、実はそれはジミ・ヘンドリクスに対してだったんだ。
JH:もちろんそうだし、今でもさ。彼のエレクトリックギタープレイはすべてのギタリストに影響を与えてるよ。もちろん、スティーヴ・ハウも("Yours is No Disgrace"のギターブレイクなど)。また、僕も右手用の弦を使って左手で弾いたりしたもんさ。ジミは逆にしてるよと教えてくれるまでね。名前の綴りに従って、彼に敬意を払い、後にそのやり方を止めたよ。
イエスつながりで、喜多郎のアルバムにジョン・アンダーソンと参加していますね。また、ジョン&ヴァンゲリスの「Page of Life」にも一曲参加しています。これらのアルバムについても話を聞かせていただけますか?
JH:「結晶」の仕事をニューヨークで終えると、ロサンゼルスに戻ったんだけれど、ジョン・アンダーソンから電話があって、彼の家でデモテープに演奏をしてくれないかといわれたんだ。彼は"Change We Must"をかけて、ソロを入れてほしいと言ったんだ。彼は僕のソロを気に入ってくれて、ハリウッドのスタジオに行き、アルバムの曲を何曲かやったよ。1曲目と6曲目だ(USバージョンの「Page of Life」)。ジョンは一緒に仕事をしてすばらしい人間だし、いろいろと喚起されたし、サポートしてくれた。僕が1曲やると、彼は目をつぶって聞き直して、もう少し違ったものがほしいときはコメントをしてた。
結局なんだかんだ言って、ガセネタ In the boxを購入してしまった。10枚組。なんてことだ、聴くだけでもちょっとした拷問だ。自分で言うのも何だが酔狂としか言い様がない。まだ半分しか聴き終えていないが、この時点で言えることはオススメだと言うことだ。ただし留保点がいくつも付くので、詳しく読むように。行くぞ。
しかし、これから紹介するインタビューが、「結晶」がいかなる事情の下で作られたか、バンド内にはどのような人間関係があったのかを明らかしてくれる。このインタビューがまだ日本語圏であまり知られていないことを知り、ここに原著者の許可を得て翻訳したものを発表する。翻訳に意味不明な点があるとすれば、それは翻訳者である私の責任である。誤訳等が有る場合、指摘をいただけると幸いだ。また、翻訳を許可してくれた、Henry Pottsに感謝の意を述べたい。Thank you, Henry. Without your effort, we can't know what's happened in the UNION session.