2011年2月7日月曜日

レッドと連合赤軍と非実在青少年



先週の木曜、山本直樹さんに誘われ『レッド』文化賞メディア芸術祭特別賞報告会というパーティに行ってきた。パーティの様子はツイートで少しばかり書いているし、Facebookで動画も上げているので、ここでは書かない。


この受賞は次の2つの意味で非常に象徴的な出来事であった。


1つは、ほとんどノンフィクションと言っていいこの漫画が、連合赤軍の話を題材にしつつ、国から表彰されたと言うこと。そして、会場である赤坂のフーターズ(まさに米国の象徴ではないか?)ではその元連合赤軍メンバーが集まり、国からのカンパで飲み食いをしていたという事実。そしてそのわずか2日後に永田洋子が死んだのだ。連合赤軍事件は一つの歴史として、一区切りを着けたということだろう。


ところで、事件の原因はあらゆるメディアにあらゆる形で書き連られてきたが、実際にはある種のタブーとして、あるいは特異な例外として、一般には消極的・積極的に無視されてきた感がある。元連合赤軍メンバー達は、renseki.netという事件を風化させないための活動をしているそうだが、『レッド』の様な漫画が余に受け入れられたことを経て、事件は歴史としてあるいは次世代への教訓として、いま再考証され、受け入れられるべき時期に来たのではないだろうかと思う。


もう1つは、山本直樹というわずか2年前に東京都から有害図書規制を受けた作家が、ここで見事に賞を受賞しているという事実である。それは痛快であると共に、いったいあの都条例の規制は何だったのかと思わざるを得ない。私自身としては、規制自体に反対ではないのだが、規制派も反対派も誰もが追求しようとしなかった、ごくごくシンプルな疑問、「エロ漫画を規制したら性犯罪が減るのか?」ということを、誰もまじめに深く追求しようとしていなかったことを訝しく思っている。


もしこれが、一般企業だとしたら、「エロ漫画で性犯罪が増えているという定量的なデータはあるのか」「規制にはどの程度のコストがかかり、どれだけの性犯罪が減るのか」「規制後にどのようにしてその効果を計測するのか」という論証が不可欠のはずだ。規制派も反対派もそこを十分に(少しは言っているようだが)突っ込もうとしないのは、実におかしな話である。実は規制はのみならず反対派にも、暗黙のコンセンサスとして「過激なエロ漫画が性犯罪の原因になる可能性は否定できない」というものがあったのではないだろうか。規制派はその可能性だけで規制する理由として十分だという本音を、「あなたはこの漫画を自分の子供に見せられますか!?」といった感情的な言葉にうまく置き換え、反対派はその言い訳よろしく、「表現の自由」「親の責任」「なぜ漫画だけ」だの言い続けてきたことが、規制派を押さえることが出来なかった原因だと、私は思っている。


反対派が本当にすべきだったのは、コストと効果の問題を定量的に提示させることのはずであり、無いものは証明できないので、規制と犯罪低減の効果に関するデータの証明責任は都の側にあったはずだ。都はおそらくコストすら具体的に提示できなかっただろう。逆に、都も本当に性犯罪を減らしたいと思うのなら、定量的データをしっかり見せれば、反対派も納得せざるを得なかったはずだ。


だいたい、これだけの討論や会議に費やしたコスト、出版社の離反によるとのイベントの凋落など、いくらコストがかかってるか、分かっているのだろうか。それで、「これだけかかってこれだけ犯罪が減りました」と言えないとするなら、まさに税金の無駄遣いである。単に規制のみが目的にしか見えず、目的と手段を混同しているとしか思えない。本当に性犯罪の低減を目指すなら、本当に規制で性犯罪が減るなら、映画もアダルトビデオも小説も、あらゆる表現媒体に規制を設けるべきである。それをしないのは、石原慎太郎をはじめとする老人達が「漫画は低俗」と思っていることに他ならない。





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