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2019年6月18日火曜日

クリムゾンのニューアルバム?「The Reconstrukction of Light」

クリムゾンが現行ラインナップでスタジオアルバムを作る予定はないと発言していることは有名だが、クリムゾンの最新スタジオアルバムと言えるかもしれない作品が登場した。それが6月発売されたばかりの「The Reconstrucktion of Light」だ。これは「The Construkction of Light」のドラムを新録しなおしたものだ。そのいきさつはちょっと興味深い。



2000年発表の「The Construkction of Light」はADATというS-VHSテープ(家庭でテレビ番組を録画するのに使ってたVHSのちょっと豪華版とでもいえば良いか)を使ったデジタルレコーディングによって制作された。当時はS-VHSは放送用途でも多用されており、普及したメディアを転用して安価にデジタルレコーディングができるということで、ADATは90年代を通して大変使われた。現在テープを使うことはないが、ADATは規格としてのみ残っておりプロオーディオ機器もサポートを継続している。

オリジナルの「The Construkction of Light」
問題はこのADATという過渡期のデジタルレコーディングシステムだ。現在のようなクラウド保存なんてない時代。パット・マステロットのドラムはエイドリアン・ブリューの知人のエンジニアによって録音されたのだが、近年亡くなり彼が持っているはずのマスターテープは所在不明となってしまったという。普通のビデオテープにしか見えないなら、うっかり捨ててしまってる可能性も否定できないから恐ろしい。かくしてパットのドラムを録音したオリジナルのマルチトラックマスターは失われてしまった(これまでのクリムゾンのライブマテリアルと同様、将来的に出てくる可能性もあるのだろうか?)。

クリムゾンの40周年記念シリーズはオリジナルのハイレゾ版とサラウンド版を作ることが売りの一つであったのだが、このままでは2ミックスしか残っていないのでさてどうしよう?という話になったときに、パットが新しくドラムを録音しなおす、という解決になった。この結果、作品は新しい命を吹き込まれた。

一聴してわかるのが、パットのドラムがヘヴィネスを増していることだ。現在3人ドラムでやっているレパートリーを1人でやってみるというのも面白い試みだが(とはいえ録音時期からするとリハに上がる前かもしれない)、明らかにオリジナルドラマーとして、またクリムゾンの常とう手段としてレコーディング前のライブという手順を踏まなかったアルバムだったことから、アルバム発表後のライブで練り上げられたドラミングがここに結実しているとみることもできるだろう。

ドラムの音やプレイが変われば当然ミックスも変わるとばかりに、一聴してわかる程ミックスが変わっている。ギターもよりヘヴィさを増し、音像としては自作「The Power to Believe」に近くなっている。それもそのはず、一部でMachineも参加しているのだ。また、各曲間をサウンドスケープでつなぐなどして、オリジナル発表当時はProjecktでできた素材を寄せ集めた感があったものを、よりアルバムとしての統一性を増している。はっきりいって、オリジナルよりも良くなった。

かつてトレイ・ガンは最良のアルバムではないがベストは尽くした、と語っていたこのアルバム、今回のドラムパート差し替え&ニューミックスで新しい評価を手にすることができるかもしれない。

余談だが、ユニバーサルミュージックが、ニルヴァーナもエイジアもサッチモもビリーホリディもコルトレーンもテープを焼失してしまったという話が最近大きな話題になったが、過渡期のデジタルレコーディングの保存は今後の課題だろう。


2017年7月31日月曜日

ピンク・フロイド書籍「ピンク・フロイド全記録(グレン・ポブィ)」が発売



活動は終わったとされる、ピンク・フロイド。その軌跡を収めた本が出版される。著者はグラン・ポブィ。完全限定2000部とある。監修はストレンジ・デイズ。

発売は2017年8月31日とのこと。価格は5940円、440ページ。詳細がアマゾンに出ている

【完全限定2000部】

デビュー50周年記念

ロンドンV&Aでピンク・フロイド大回顧展開催中! 
ロジャー・ウォーターズ25 年振り新作発表! 


 プログレッシブ・ロックの先駆者であるピンク・フロイド全キャリアを網羅した究極のビジュアル・データ・ブック、本邦初の貴重な未発表写真やグッズ、コンサー ト、リハーサル、レコーディングなどの詳細なデータ、インタビュー、全公演セットリストなどピンク・フロイドのすべてをこの一冊にコンパイル。
 さらに伝説のアビーロード・レコーディング・セッションに関しての最新資料も追加した圧巻のアーカイブ集。ピンク・フロイドの権威として名高い、英音楽評論家・グレン・ポヴィによる緻密な取材の集大成でもある。
 最も革新的なロックグループの胎動期から現在に至るまでの偉大な奇跡を記録した唯一無比のピンク・フロイド一大絵巻。ピンク・フロイドファン、ロック・ファン待望の一冊、遂に完成。

63~67年 黎明期そして『夜明けの口笛吹き』シドバレットの登場
68~71年 サイケデリックからプログレッシブロックへ『原子心母』の時代
72~76年『狂気』『炎』飛翔伝説~ゆるぎなきスターダムへ
77~85年『アニマルズ』『ザ・ウォール』~ロジャー・ウォーターズの時代
85~04年『ファイナルカット』『鬱』『対』~デイヴ・ギルモアの時代
05~15年『光』『エンドレスリバー』~再会そして終焉

ディスコグラフィー全作品・詳細解説
メンバー・ソロ・キャリア全掲載・解説

<著者プロフィール>
グレン・ポヴィ
ピンク・フロイドのファンジン「ブレイン・ダメージ」の創設者で1985 ~ 93 年までの本誌の編集長を務める。著 書には『Pink Floyd in Flesh:The Complete Performannce History』(St.Martin Griffin 刊) 『Echoes』(Chicago Review Press 刊)があり、ピンクフロイド史研究家として世界的な権威。現在もMojo、Record Collector、Classic Rock などの主要音楽誌へ寄稿。またアーティスト・マネジメントやツアー・プロダクションなども手掛け、音楽産業でも活躍中。現在・英ハートフォード州在住。
ピンク・フロイドは終わってしまった。各人のソロに互いにゲスト参加することはあっても、もはや復活はないだろう。そういうわけで、色々と過去のお蔵入り音源などを集める作業が進められている様子。回顧として、活動の全貌を俯瞰するのは意味があることかもしれない。昨今の出版不況を踏まえて2000部という、一時は商売が成り立つのと疑問に思う部数ももはや当たり前になってしまったようだ。


2017年4月11日火曜日

ジ・エヴァーラスティング ~ベスト・オブ・ELP~(6CD)



ご存知の通り、2016年にキース・エマーソン、グレッグ・レイクが相次いで世を去った。ELPは70年代にはレッド・ツェッペリンと並ぶほどの人気と名声を博したにもかかわらず、80年代以降は一般には忘れ去られ、その特異な音楽性ゆえか、散発的な活動再開しかできなかったからか、今でもあまり顧みられることはない。

そんな中、追悼商法といえばそれまでだが、ELPの新たなベストが出た。2000年以降の半公式ライブ盤(しかも愛のない内容)乱発の流れから見ると、またベストか的な気もしなくもないが、未発表音源も収録されているという。

内容は以下の通り。

ディスク:1
  1. ナイフ・エッジ
  2. ラッキー・マン
  3. ジェレミー・ベンダー
  4. ジ・オンリー・ウェイ
  5. タイム・アンド・プレイス
  6. アー・ユー・レディ・エディ
  7. フロム・ザ・ビギニング
  8. シェリフ
  9. トリロジー
  10. リヴィング・シン
  11. 聖地エルサレム
  12. 用心棒ベニー
  13. 今夜は愛の光につつまれて
  14. セ・ラ・ヴィ
  15. ノーバディ・ラヴズ・ユー・ライク・アイ・ドゥ
  16. 海賊

ディスク:2
  1. 孤独なタイガー
  2. 恐怖の頭脳改革
  3. 君を見つめて
  4. ソー・ファー・トゥ・フォール
  5. 夢みるクリスマス
  6. 迷える旅人
  7. 欲しいのは君だけ
  8. ギャンブラー
  9. 将校と紳士の回顧録(a.プロローグ/紳士の教え~b.愛を感じた時~c.最前線からの手紙)~d.栄光の歩兵中隊
  10. ブラック・ムーン
  11. フットプリンツ・イン・ザ・スノウ
  12. ハンド・オブ・トゥルース
  13. ゴーン・トゥー・スーン

ディスク:3
  1. 未開人
  2. 運命の三人の女神
  3. 限りなき宇宙の果てに
  4. トッカータ
  5. ピアノ協奏曲 第1番
  6. あなたのバレンタイン
  7. バレルハウス・シェイクダウン
  8. メイプル・リーフ・ラグ
  9. ホンキー・トンク・トレイン・ブルース
  10. キャナリオ
  11. チェンジング・ステイツ
  12. クロース・トゥ・ホーム
  13. ブレイド・オブ・グラス
  14. ハマー・イット・アウト

ディスク:4(ライブ音源)
  1. プロムナード
  2. こびと
  3. プロムナード
  4. バーバ・ヤーガの小屋
  5. バーバ・ヤーガの呪い
  6. バーバ・ヤーガの小屋
  7. キエフの大門
  8. ホウダウン
  9. タルカス
  10. 石をとれ~スティル…ユー・ターン・ミー・オン~ラッキー・マン

ディスク:5(ライブ音源)
  1. ピアノ・インプロヴィゼイション
  2. 悪の教典#9(ライヴ)
  3. イントロダクトリー・ファンファーレ
  4. ピーター・ガン
  5. クローサー・トゥ・ビリーヴィング
  6. タッチ・アンド・ゴー
  7. 庶民のファンファーレ~ドラム・ソロ~ロンド
  8. ナットロッカー

ディスク:6(未発表)
  1. 悪の教典#9 第1印象〔インストゥルメンタル・ミックス〕

…どう思います? 個人的には微妙なものを感じるのですが。1〜2枚目など、確かにグレッグに焦点を当ててるところは面白いとは思うのですが、この曲順なの?と疑問に思ってしまいます。

ELPの魅力って、ものすごく多面的だと思うんですよ。ある意味バラバラで、特にエマーソンの方向性とグレッグの方向性が、同じバンドなの?というぐらい違う。それをうまくコンパイルするのは難しいのはわかるのですが、忘れ去られたELPの魅力をどのように再提示するか、というところまで踏み込んだベストかと言われると、微妙なものを感じます。とはいえ、後期ELP、特にラブ・ビーチあたりの曲もちゃんと評価して入れている点には好印象を持ちました。

なんて書いてて、意外と見過ごされがちな曲もちゃんと収録してて、これはこれで斬新なベストなのかも、と思ってしまってる自分もいたりして、ELPってやはり多くの人にとってまだまだ正当な評価を与えづらいのかと改めて思いました。しかし、改めて検索して見ると、ELPはアイテム多すぎですね……

ちなみにカール・パーマーはCarl Palmer’s ELP Legacyなんてバンドをちゃっかり始めたそうです。自分からEとLに、もうお前らとはやんね、と言っておきながら、エイジアが実質終わりになったから、次の商法を始めたというか。そういうところが、80年代以降も現役感を持って活動を続けられた理由なのかもしれません(決してディスってない)。

個人的にはWorksツアーの時の映像をきちんとリマスターの上、Blu-Rayで販売してもらえればなぁと思っていますが、やはり売れないのであろうか。

追加情報:レイクの自伝、”Lucky Man”がアマゾンで登録されています。書影が出ていますが、まだKindle版しか予約は受け付けておらず(6/22配信予定)。やはり売れないのか?



2016年9月24日土曜日

Betty Davis - Columbia Years 1968-1969



ベティ・デイヴィス(旧姓・ベティ・メイブリー)はマイルスの2人目の妻であり、シンガー。彼女はマイルスとの離婚後にデビューして、ソウル・ファンクシンガーとして活動するわけだが、マイルスのプロデュースで製作した音源が存在すると長らく噂になっていた。その噂が本当だった、という音源がとうとう発表された。それもCDだけでなくアナログLPまでも(まぁ流行りだからね)。

「彼女は最初の”マドンナ”だった」とはサンタナの弁。もちろん、彼が言いたいのはあのマドンナを先駆けたセックスシンボルたる女性アーティストがベティ・デイヴィスだった、ということだ。ベティ・デイヴィスは単にマイルスの妻であっただけでなく、彼の音楽性やファッションにも強い影響を与えた。「マイルスは女が変わると音楽性が変わる」(By.菊地成孔)との言葉通り、マイルスがサイケデリックロックに接近したのはベティの影響である。ファッションの手ほどきも、ジミ・ヘンドリックスの音楽をマイルスに教えたのもベティだった(そしてベティはジミと不倫していた)。

そんなにすごい人なの?と思う方、次のジャケットを見てもらいたい。何だか凄くないですか?どうなっちゃってるの?その格好は何なの?



その彼女がマイルスとテオ・マセロのプロデュースによって音源を製作、しかもBitches Brew録音直前の製作、ショーター、ハンコック、ラリー・ヤング、ジョン・マクラフリンも参加の上、リズムセクションはジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのミッチ・ミッチェル(d)、ハーヴィー・ブルックス(b)、バンド・オブ・ジプシーズのビル・コックス(b)、トラック7-9の3曲にはヒュー・マサケラとジャズクルセイダーズのメンバーが参加ときたら期待しないわけにはいかない。
  1.  Hangin' Out
  2.  Politician Man
  3.  Down Home Girl
  4.  Born On The Bayou
  5.  I'm Ready, Willing & Able -Take 1
  6.  I'm Ready, Willing & Able -Take 9
  7.  It's My Life -Alternate Take
  8.  Live, Love, Learn
  9.  My Soul Is Tired
5、8曲目は既発の音源だが、それ以外は未発表。4はクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルのカバー。クリームのカバーもあるらしいのだが、私がクリームに興味ないのでどの曲か分からない(笑・ベティはクラプトンのプロデュースの申し出を断っている)。

のちのアルバムでは素人臭も目立ったベティのボーカルだが、ここではかなり立派な歌いぶりを披露している。何よりファンキーでありながらロックフィーリングも感じるモータウン風のリズムが素晴らしい(マクラフリンが意外にファンキー!こんなこともできたのか)。曲数が足らないとはいえ、なぜこれがお蔵入りになったのか不思議な話である。

しかしそれにしても、コロンビアのスタジオで録音した音源のマスターをなぜベティ・デイヴィスが持っていたのか、今までなぜ発表されなかったのか、謎である。なお、ベティの半生を描いたドキュメンタリーが準備中とのことで、2017年公開予定でクラウドファンディングを行っているそう。


2016年9月2日金曜日

Miles Davis Quintet: Freedom Jazz Dance: The Bootleg Series, Vol. 5



しばらく当ブログを書いていなかったが、気になる新譜が出たため、更新を再開する気になった。マイルスのBootleg SeriesのVol.5である。これまでこのシリーズはライブ録音ばかりをリリースしてきたが、今回はスタジオのアウトテイク集である。

個人的には、70年代のライブをもっと出して欲しいという気持ちがあるが、今回のアウトテイクはかなり興味深い。というのも、60年代黄金クインテットのものだからである。この時期の録音に関しては、数々の「伝説」に彩られてきた。曰く、スタジオに入ってリハだと思ってたら録音だったということがあったらしい、とか。しかし実際にこうしてリハーサルテイクが出てきた以上は、それなりの下準備があったようだ。以下が、トラックリストである。

Disc: 1
  1. Freedom Jazz Dance (Session Reel)
  2. Freedom Jazz Dance (Master Take)
  3. Circle (Session Reel)
  4. Circle (Take 5)
  5. Circle (Take 6)
  6. Dolores (Session Reel)
  7. Dolores (Master Take)

Disc: 2
  1. Orbits (Session Reel)
  2. Orbits (Master Take)
  3. Footprints (Session Reel)
  4. Footprints (Master Take)
  5. Gingerbread Boy (Session Reel)
  6. Gingerbread Boy (Master Take)
  7. Nefertiti (Session Reel)
  8. Nefertiti (Master Take)

Disc: 3
  1. Fall (Session Reel)
  2. Fall (Master Take)
  3. Water Babies (Session Reel)
  4. Water Babies (Master Take)
  5. Masqualero (Alt. Take 3)
  6. Country Son (Trio Rehearsal)
  7. Blues in F (My Ding)
  8. Play Us Your Eight (Miles Speaks)

こうしてみてみると、セッショントラックとマスターテイクを順番に並べる構成になっている。故・中山康樹が常々言ってたように、ジャズのCDでマスターテイクの後にアウトテイクを並べる構成はアルバム構成が乱れるからやめてほしいという意見があるが、その点では本作もややアルバムとして聴くには冗長な感じはする。故にマニア向けの一品ということだろう。

なお、"Country Son"はマイルスとショーターを除くリズムセクションのみのリハーサル、"Blues in F"はマイルスの自宅でピアノを弾きながらショーターに新曲のアイディアを説明しているところらしい(どうしてそんな録音が残っているのか?)。

9月2日時点でアマゾンはまだ輸入盤の注文受付をしていない様子である(日本版は受付中で10月26日発売予定となっている)。アメリカでは10月21日の発売のようだ。


2012年8月17日金曜日

【リリース情報】Miles Davis Bootleg Series Vol.2

マイルスの ブートレグ・シリーズ Vol.2 が発売される。アマゾンでは9/19となっているが、国内盤が先行発売のようなので(あの忌まわしいBlu-spec CDである)、フライングで流通するかもしれない。

内容は、いわゆるロストクインテット時(マイルス、ショーター、チック・コリア、デイブ・ホランド、ジャック・ディジョネット)の録音で、フェンダーローズも導入されている時期の、かなりフリーにも接近していた頃の演奏を収録している様子。DVDも付くというので、これはかなり垂涎の一品なのだが、売れると日本法人が思っているのか、輸入盤の発売予定はまだHMVのオランダ輸入盤のみだろうか。

自分はもう少し様子を見て購入を考えたいと思っている(可能ならば安価な輸入盤を購入したい)。内容はおそらく買って損なしだろう。

2011年10月14日金曜日

【リリース情報】DVD Box - Definitive Miles Davis at Montreux Dvd Collection (ザ・コンプリート・マイルス・デイヴィス・アット・モントルー 1973-1991) & CD Box - 1986-1991: the Warner Years



マイルスのモントルージャズフェスティバル出演時(1973-1991)の映像が、まとめて10枚組DVDボックスセットとしてリリースされるようだ。音源自体は2002年に、20枚組のCDボックスセット「Complete at Montreux 1973-1991」として発売されていた。どうせ聴くならば、映像付きのほうが良いに決まっているので、CDボックスとDVDボックスの収録曲が同一なら、こちらのほうが内容的にも、コストパフォーマンス的にも良いだろう(一応、日本版はコンプリートと謳ってある)。

なおアマゾンの情報では、輸入盤はリージョン1とのことだが、Blu-rayが徐々に普及しかかっている現在、DVDはリージョンフリーで売られていることも多いので、実際にはフリーの可能性もある。ただ、国内盤との価格差は、アマゾンの先行予約ならばさほど大きくなく(記事執筆時2000円程度の差)、国内盤で買うのが吉かもしれない。アマゾンでは輸入盤が10月24日の発売、国内盤が11月2日の発売となっている。

詳しい情報は、後に追加する予定だ。



また、このDVDに合わせてか、ワーナー時代のマイルスのCDボックスセット「1986-1991: the Warner Years」も発売されるようだ。こちらの収録アルバムは、「TUTU」「Amandra」「Doo-Bop」「Dingo」「Siesta」にクインシー・ジョーンズらとの再会ライブで構成されるとのこと。3500円程度なのでかなり格安だろう。こちらの日本盤発売は今のところ情報がないようだ。こちらはアマゾンでは10月25日の発売と書かれている。



2011年9月11日日曜日

【リリース情報】 John Coltrane - Original Impulse Albums Vol.5




約1ヶ月前にVol.4の発売を書いたばかりだが、なんとすぐにVol.5も出るという。あわわ、Impulse!でのコルトレーン流ドフリーが満載……で、どのアルバムが収録されるのかという情報を早くも入手したので、ここに記そう。

内容であるが、まず5枚目がLive In Japanというのが気になる(4枚組のはずなので)ため、ひょっとしたら日本でのSHM-CDに合わせたリマスターが一挙に進められていて、それに合わせてVol.6も出てくる……なんて言うこともあるかもしれない。また、Disc 1のLive In Seattleであるが、元々は2枚組で出ていたはずなので、1枚のみと言うのは?(追記:2011/09/12 Live In Seattleはオリジナルリリース時には1枚組だった。2曲の追加トラックを聞きたい場合は、再発のSHM-CDを買いましょう)


Disc 1: Live in Seattle feat. Pharoah Sanders
  1. Cosmos 10:49
  2. Out of This World 24:20
  3. Evolution 36:10
  4. Tapestry In Sound 6:07

Disc 2: Sun Ship
  1. Sun Ship 6:12
  2. Dearly Beloved 6:27
  3. Amen 8:16
  4. Attaining 11:26
  5. Ascent 10:10

Disc 3: Transition
  1. Transition 15:29
  2. Dear Lord 5:34
  3. Suite: A. Prayer and Meditiation: Day B. Peace and After C. Prayer and 21:19

Disc 4: Infinity
  1. Peace On Earth 9:03
  2. Living Space 10:40
  3. Joy 8:01
  4. Leo 10:08

Disc 5: Coltrane In Japan
  1. Spoken Introduction (Japanese) 1:39
  2. Meditations / Leo 45:31
  3. Peace On Earth 18:06
Live in Seattle」「Live in Japan」に関しては、日本版のSHM-CDが完全版である(ただし、Live In Japanに関しては、CD化に際し収録時間の制限から、日本人解説者による紹介のイントロが省かれている、はず)。なお、残りのインパルスのコルトレーンのアルバムは次の通り。「First Meditations」「Living Space」「Stellar Regions」「Interstellar Space」「Jupiter Variation」「The Oratunji Concert」。2000年代になってからのリリースも数点あるので、Vol.6以降にも期待したい。



2011年8月17日水曜日

Bjork - Clistalline Video Clip

ビョークの4年ぶりの新作となるBiophiliaよりClistallineの公式ビデオクリップが公開されていたので見てみたが(約1ヶ月前だけど)、かなり激しい音になっている。時として、え? という作品もあるビョークだが、今度のアルバムはストレートに音がカッコイイので期待できそう。



ライブもなんだかものすごいことになってる……。



眠れぬ夜のピチカートファイヴ、あるいは失われたレトロフューチャー

おはよう、フェルプス君。寝苦しい夜だったね。今日はプログレではなく、以下のエントリーを読んでもらおう。という冗談はさておき。

熱帯夜が続きただでさえ寝苦しいところに、家人が高熱を出しその看病をしていたら、なんとも寝られなくなってしまった。ということで、こんな真夜中に自室でCDのリッピングに精を出しているところなのだが(PowerMac G4のけたたましい騒音と熱で更に疲労困憊)、たまたまあったピチカートファイヴのベストを聴いてみたら、ものすごく複雑な気分になった。20代のころに90年代を過ごした身として、今これを聞くと、「これって忘れたい過去じゃないか?」と自問自答してしまうのだ。

上手いんだか下手なんだかよく分からん渡辺美里の声によく似たヴォーカルが、「ハッピー」とか「キャッチー」とか「グルーヴィー」とか歌ってて、穴があったら入りたくなりませんか? これどこかのお店でかかったら、今の20代は爆笑するんじゃないだろうか。オケも、もうなんて言うか今では元ネタが透けて見えるような、古いレコードで聴けるようなサウンドの焼き直し。幻の名盤が散々発掘し尽くされた今から見ると、この音この歌でまさかクラブで踊らせてみせますなんて冗談ですよね? と言いたくなってしまう(筆者はリアルタイムのファンではなかったので、本当にクラブでかかっていたかどうかは知らない*1)。

しかし、90年代でこういうことをやっていたんだ、と考えると、やはり時代の先端を行っていた音だったんだなとも思う。

レアグルーヴやフリーソウルが、ロンドンから輸入され始めたのが80年代末。めざとい人たちが盤漁りをし始め、そんな中の一人が小西康陽だった*2。80年代にCD普及で絶滅するはずだったレコードが、90年代ではカッコいい音のネタになり、最新のテクノロジーで置き換えられたはずの60~70年代の楽器たちが、ローファイという言葉と共に復権をした。80年代的な煌びやかさから、70年代的な荒々しさへ先祖返りを試みたのが90年代の新しさだ。

それは、どこまでもテクノロジーが発展すると思っていた80年代から、何か変わると思っていたのに何も変わらないことがわかってしまったゼロ年代の狭間に立って、90年代は、手塚治虫やハインラインが考えてる様な未来がまだ有効だった、レトロフューチャーの時代だった。過去の人々が描いた未来が、どうも実現しそうにないことをどこかで気がつきつつも、それを楽しむ懐古的な視線が新しい価値を生んだ時代。ピチカートファイヴも確実にその流れの中にいたんだと思う。

しかしいまや、破産しそうなアメリカより一企業であるアップルのほうが金があったり、形だけのアリバイはあっても動機がない暴動が簡単に起きてしまったり、国家が文字通りメルトダウンしつつあるテン年代において、レトロフューチャーは本当に終わってしまった。小西康陽は「2000年代は楽しいことなさそう」と言いながらピチカートファイヴを解散したけれど、彼は時代を見る目があったんだなと思う。

世の中が荒れた時代ほど面白い音楽が生まれるというが、それが今どこかで起きているのかな、と思いつつ、リアルタイムに体験することなく過ぎ去った90年代の音をひととき楽しんだので寝ることとしよう。

なお、このエントリーは自動的に投稿される*3

*1 先日バーにいたら、友人達がこんな会話をしていた。男「俺、クラブって行ったことないんすよ。どんなとこなんですか?」 女「ん~立ち飲み屋!」 男「(笑)なるほど、爆音立ち飲み屋ですか」 女「そ~(笑)」
*2 故・大里俊晴が2000年にパリに行ったら、どこのレコード屋でも「ピチカートとかいうやつがめぼしい盤を全部買っていった」と言われたとぼやいてた。
*3 ただ今、朝の4時半。


2011年8月16日火曜日

【リリース情報】 John Coltrane - Original Impulse Albums Vol.4




解説も何も無い無愛想なシリーズだが、価格は安いコルトレーンのインパルスボックスセットのVol.4が出るようだ。正直、4はでないんじゃないかなと思っていた。なぜなら、最晩年のアルバムは超弩級のフリージャズなので売れないでしょ、フツーには。アルバムと収録曲等は次の通り。元が蔵出し音源なので、ボーナストラックのたぐいはないようだ。

DISC 1: EXPRESSION:
  1. Ogunde
  2. To Be
  3. Offering
  4. Expression
DISC 2: LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD AGAIN!
  1. Naima
  2. Introduction To My Favorite Things
  3. My Favorite Things
DISC 3: OM:
  1. Om
DISC 4: COSMIC MUSIC:
  1. Manifestation
  2. Lord, Help Me To Be
  3. Reverend King
  4. Sun, The
DISC 5: SELFLESSNESS:
  1. My Favorite Things
  2. I Want To Talk About You
  3. Selflessness
いずれも死後に発表された作品ばかりであり、 インパルスのアルバムはまだあるので、Vol.5を期待したいところだが……さすがに難易度が高すぎるか? ちなみに、「First Meditations」「Transition」「Live in Seattle」「Live in Japan」「Sun Ship」「Living Space」「Stellar Regions」「Interstellar Space」「Jupiter Variation」「The Oratunji Concert」がそれにあたるが、これらは8月後半にすべてSHM-CDにて日本盤が出る予定である。筆者のお薦めはLive In Japanである。これは本当に感動的な名演だ。4枚組のくせして、CD1枚につき1~2曲だけど。だがしかし、う~ん、出るかどうか分からない本家の廉価版ボックスを待つのが良いのか、悩ましいところである。






2011年8月13日土曜日

John Funkhauser Trio - Time



これまたピアノトリオものの紹介なのだが、おそらく日本でこのアーティストの名前を知っている人はほとんどいないと思う。自分も知らなかった。某南博氏に、バークリー時代の友人としてCDを聴かせてもらって知ったのだが、何とも言えないドリーミングな音が気になり、買って聴いてみたら、これが大当たり!

このアルバムタイトル、ジャズに詳しい人ならピンと来ると思う。そう、デイブ・ブルーベックの「Time Out」と同じく、変拍子ものの曲が多くを占めているのだ。

たとえば1曲目。"On Green Dolphine Street"はジャズ好きなら誰でも知っているスタンダード。これを5拍子でやっている。といっても、いわゆるプログレ的な(=クラシック的な)3/4+2/4*1を余り感じさせないように、ピアノのメロディーがルバートっぽくフレーズを奏で、ドラムはビートをかっちり刻むのでなく、優しく寄り添うようにアクセントを付けている。一聴してこれを5/4と分かる人はなかなかいないんじゃないかな。

同じ事は8曲目の"Come Rain Or Come Shine"にも言えて、こちらは3拍子。サスティンペダルを多用して、流れるようなサウンドを実現させている。ECM的にエコーを深くかけたものはあっても、こういうサスティンペダルを多用した演奏って、有りそうでなかなか無い。

そのほか、自作曲の2曲目"Ellipse"は、ピアノの左手が5/8で右手が7/8で、35小節ごとに周期が合うという、まるでキング・クリムゾンの"Discipline"のようなことをやっているのだ。ちなみにベースは6/8×5+5/8で35小節目で一周、ドラムは35ビート。さすがにソロの部分は5/8になるが、これもまたジャズでは珍しい試み。

などなど、複雑な変拍子を多用した作品なのだが、プログレにありがちなガチガチなキメがなく、どの楽器もアクセントの置き場所を自由自在に操り、隙間を作ることで、聴き手に変拍子を意識させず、たゆたうようなサウンドを実現させているのだ。私も散々ジャズは聴いたけれど、類似の作品を知らない。

しかも、ググって知ったのだが、この人、なんとベーシストでもあるそう。世の中才能のある人というのはいるものだ。

これだけ良いのに、なんと販売はCD Baby(アメリカの自主製作ものの流通業者)。う~~~ん、惜しい。日本のジャズ関係者はもっとこの人に注目して、CDを作らせてはどうか。こういうピアノトリオこそ、世に知られるべきだ。

*1 たとえば"Lark's Tangue In Aspic Part2"は3/8+2/8で5拍子




クリムゾンのニューアルバム?「The Reconstrukction of Light」

クリムゾンが現行ラインナップでスタジオアルバムを作る予定はないと発言していることは有名だが、クリムゾンの最新スタジオアルバムと言えるかもしれない作品が登場した。それが6月発売されたばかりの「The Reconstrucktion of Light」だ。これは「The Constr...