ご存知の通り、2016年にキース・エマーソン、グレッグ・レイクが相次いで世を去った。ELPは70年代にはレッド・ツェッペリンと並ぶほどの人気と名声を博したにもかかわらず、80年代以降は一般には忘れ去られ、その特異な音楽性ゆえか、散発的な活動再開しかできなかったからか、今でもあまり顧みられることはない。
そんな中、追悼商法といえばそれまでだが、ELPの新たなベストが出た。2000年以降の半公式ライブ盤(しかも愛のない内容)乱発の流れから見ると、またベストか的な気もしなくもないが、未発表音源も収録されているという。
内容は以下の通り。
ディスク:1
- ナイフ・エッジ
- ラッキー・マン
- ジェレミー・ベンダー
- ジ・オンリー・ウェイ
- タイム・アンド・プレイス
- アー・ユー・レディ・エディ
- フロム・ザ・ビギニング
- シェリフ
- トリロジー
- リヴィング・シン
- 聖地エルサレム
- 用心棒ベニー
- 今夜は愛の光につつまれて
- セ・ラ・ヴィ
- ノーバディ・ラヴズ・ユー・ライク・アイ・ドゥ
- 海賊
ディスク:2
- 孤独なタイガー
- 恐怖の頭脳改革
- 君を見つめて
- ソー・ファー・トゥ・フォール
- 夢みるクリスマス
- 迷える旅人
- 欲しいのは君だけ
- ギャンブラー
- 将校と紳士の回顧録(a.プロローグ/紳士の教え~b.愛を感じた時~c.最前線からの手紙)~d.栄光の歩兵中隊
- ブラック・ムーン
- フットプリンツ・イン・ザ・スノウ
- ハンド・オブ・トゥルース
- ゴーン・トゥー・スーン
ディスク:3
- 未開人
- 運命の三人の女神
- 限りなき宇宙の果てに
- トッカータ
- ピアノ協奏曲 第1番
- あなたのバレンタイン
- バレルハウス・シェイクダウン
- メイプル・リーフ・ラグ
- ホンキー・トンク・トレイン・ブルース
- キャナリオ
- チェンジング・ステイツ
- クロース・トゥ・ホーム
- ブレイド・オブ・グラス
- ハマー・イット・アウト
ディスク:4(ライブ音源)
- プロムナード
- こびと
- プロムナード
- バーバ・ヤーガの小屋
- バーバ・ヤーガの呪い
- バーバ・ヤーガの小屋
- キエフの大門
- ホウダウン
- タルカス
- 石をとれ~スティル…ユー・ターン・ミー・オン~ラッキー・マン
ディスク:5(ライブ音源)
- ピアノ・インプロヴィゼイション
- 悪の教典#9(ライヴ)
- イントロダクトリー・ファンファーレ
- ピーター・ガン
- クローサー・トゥ・ビリーヴィング
- タッチ・アンド・ゴー
- 庶民のファンファーレ~ドラム・ソロ~ロンド
- ナットロッカー
ディスク:6(未発表)
- 悪の教典#9 第1印象〔インストゥルメンタル・ミックス〕
…どう思います? 個人的には微妙なものを感じるのですが。1〜2枚目など、確かにグレッグに焦点を当ててるところは面白いとは思うのですが、この曲順なの?と疑問に思ってしまいます。
ELPの魅力って、ものすごく多面的だと思うんですよ。ある意味バラバラで、特にエマーソンの方向性とグレッグの方向性が、同じバンドなの?というぐらい違う。それをうまくコンパイルするのは難しいのはわかるのですが、忘れ去られたELPの魅力をどのように再提示するか、というところまで踏み込んだベストかと言われると、微妙なものを感じます。とはいえ、後期ELP、特にラブ・ビーチあたりの曲もちゃんと評価して入れている点には好印象を持ちました。
なんて書いてて、意外と見過ごされがちな曲もちゃんと収録してて、これはこれで斬新なベストなのかも、と思ってしまってる自分もいたりして、ELPってやはり多くの人にとってまだまだ正当な評価を与えづらいのかと改めて思いました。しかし、改めて検索して見ると、ELPはアイテム多すぎですね……
ちなみにカール・パーマーはCarl Palmer’s ELP Legacyなんてバンドをちゃっかり始めたそうです。自分からEとLに、もうお前らとはやんね、と言っておきながら、エイジアが実質終わりになったから、次の商法を始めたというか。そういうところが、80年代以降も現役感を持って活動を続けられた理由なのかもしれません(決してディスってない)。
個人的にはWorksツアーの時の映像をきちんとリマスターの上、Blu-Rayで販売してもらえればなぁと思っていますが、やはり売れないのであろうか。
追加情報:レイクの自伝、”Lucky Man”がアマゾンで登録されています。書影が出ていますが、まだKindle版しか予約は受け付けておらず(6/22配信予定)。やはり売れないのか?