本日1月9日に、関内・馬車道にて大里俊晴氏追悼イベントがあったので行ってきた。
イベントのメインはトークショーで、いろいろとエピソードが語られたのだが、会場が残響の強いところで、話の半分ぐらいしか聞こえなかったのが残念だった。生前、大里さんからちょくちょく話を聞いていた細川周平氏を初めて見かけた。師匠である塚原先生も少ししゃべっていた。トークショーでは大里さんが生前授業のネタによく使っていた、Alvin Lucierの「I'm sitting in the room」(文章の朗読を何度も空中ダビングしていくとどうなるかという現代音楽)も流していた。
後半には2008年に新潟で行った大里さんの演奏のビデオを上映していた。以前、1度だけ大里さんの演奏を見かけたことがあるが、そのときはあそこまで激しい演奏ではなかった。やっていることは、ギターのフィードバックを利用したノイジーなインプロビゼーションで、結構同じようなことをやっている人もいるのだが、何か彼を突き動かしている衝動が感じられて、単純にかっこいい。「ガセネタの荒野」で、バンド時代の演奏を表現した詩のような一節に、「僕らは終わり続けていた」「終わり続けていたから終わることができなかった」というような文があったが、これじゃ終われなかったのだろうな、そんなことを思わせた。年を取って枯れた何かでも、深化した技術でもない、青臭さを感じさせる演奏だった。
2次会は食事を囲みながらスピーチなどを聞きつつ、歓談、という内容。知人はいなかったので、なんとも話しかける気に何となくなれず、かといってさっさと帰る気にもなれず、ただその場の雰囲気を味わっていたという具合。大里さんの取ったという写真が置いてあったが、硬質な絵がとてもセンチメンタルで、存外に素晴らしい写真だった。生前試用していたギターやベースが売られていたが、フレットレスのプレシジョンベースやアコギなど、個性的な楽器だらけ。こういうところも、それらしいなと思う。
横国で行われていたゲストを呼んでの講義で、大友良英氏の回が会場にて上映されていたのだ。大里さんと大友さんの競演の様子も見られたのだが、大里氏の客席に背を向けつつギターをフィードバックさせるその演奏スタイルを見ていたら、自分はたしかこの演奏を見たんじゃなかったかと思い始めてしまった。本当にそんなことがあったのかは、未だにハッキリと思い出せないのだが、あの背中を向けて演奏する姿には絶対に憶えがある。自分のハッキリした記憶としては山本直樹さんの回だけだったのだが(あのときは大里さんに依頼されて山本さんの送迎を担当したので覚えている)。当時、大友さんの演奏をよく見に行っていたので、可能性はある。
追悼イベントはまだいくつか行われるらしいので、時間を作って行ってみようと思う。個人的には未見のAAを見てみたい。
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